2025年8月山の子塾キャンプ<後編>
以下、キャンプ後のクラームの劇的な変化一覧。
【キャンプの様子(Nの話)】
・川下りをした後、徒歩でアスファルトの歩道を登り、公民館まで戻ってきたら、カニの素揚げをしているのを見たり、お兄ちゃん達がカードゲームをしているのを見たり、焚き火の傍に行ったりして過ごしたそうです。
・道を歩く際は、「一人で歩けない」と泣き言を少々言っていたようですが、結局自分の足で全行程を歩き切ったそうです。
・カードゲームは、お兄ちゃんたちの邪魔をして怒られもしたようです。
・食事はお昼はおにぎり、夕方はカレーとカップ麺を完食したそうです。
・Nに話しかける時、しっかりと目を見ていて、考えているのが見てとれたそうです。
【キャンプのお迎えの様子】
・私が姿を見せると、飛びついてくるわけでもなく、泣くでもなく、照れるでもなく、"ポカンとしてた"のが近い表現かな。すごく久しぶりに私の顔を見た、という様子だった。「あ、この時間がお母さんが言っていた"夕方"なんだな」と、すっかり忘れていたことを今思い出した、といった様子だった。
・「帰るよー」と言うと、素直にかばんを車に積んで乗り込んだ。「もっと居たい」も「早く帰りたい」もどちらも言わない。まだこの時期、スケジュールの決定権は自分に無いと思い込んでいるのかもしれない。最後少しだけ、お見送りに来てくれたお姉ちゃんに、名残惜しそうに何か話しかけていた。
【キャンプ会場からBのご実家へ】
・まず驚いた変化は、「お風呂を嫌がらずに入った」「体を自ら洗うと言い出した」「お風呂上がりに自分で体を拭いた」!!! それまではお風呂入るよーと言うとイヤイヤが始まり、無理やり服をひっぺがえしてお風呂場に押し込む・・・という力技が必要だった。(着て肌に馴染んだ服を脱ぐという行為が"大きな変化"になり、クラームにとってそれが"強い刺激"なので避けたいらしい。)
それが自ら素直に「入る」と言ってくれて、さらにこちらは何も促してないのに、さも当然でしょという顔で「体を洗う」と言い出してくれて、終いには自分で体を拭く!?・・・キャンプに半日行っただけでこんなに変化するの!?
おそらくキャンプ中、自ら進んで水着や普段着に着替える他の子どもたちを見ただろうし、自分で身支度しないと(誰も手伝ってくれるわけではないし)、置いていかれる可能性もあるなどのシチュエーションを肌で感じたのかな〜なんて想像。
兄弟が多い家庭だと親の手が全員に回らない上に上の兄弟たちが自分のペースでどんどん先へ動こうとするから下の兄弟は必死に着いていく、という現象が起きると予想。その点クラームは一人っ子で、通ってる保育園ではみんなが揃うまで待つスタイルだろうし、「必死に着いていく」ってシチュエーションはこれまで感じたことのない焦燥感だったに違いない。キャンプが良い刺激になって良かったと思う。
【Nから届いたキャンプ中の食事の写真を見て驚く】
レトルトでとろとろだったとは言え、ごろっとしたカレーの具材を完食したらしい・・・!!? ちょっと、家ではカレーはいつも具を食べないのに!? キャンプ活動でお腹が空いていただろうけど、それにしても感覚過敏でちょっとの変化を嫌うクラームが、駄々こねずに素直に食べ切ったということに驚き。
【帰宅後の日記がキャンプの日だけ超ロング】
毎日帰宅後、クラームに「今日やったこと」を話してもらって私が書き起こしている日記。日常の日記は「保育園でAくんと遊んだ」で終わるくらいの短さだったのが、キャンプ後に書いた日記は20行くらいに亘って喋ってくれた。促さなくてもポロポロと出来事を語ってくれた。感動した。
【何も依頼していないのに突然「お味噌汁の豆腐を食べる」と宣言した】
それまでは細いネギ1本すら嫌がって駄々捏ねてたクラームが、私が何も言ってないし何も期待する気配をしたわけでもないのに突然自ら「豆腐食べる(ただし1個だけ)」と言い出してびっくりした。その後宣言通りクラームは1個豆腐を食べるようになった。
【キャンプから帰宅した後の、スイミング教室が劇的変化】
キャンプ前は毎回凄惨たる状況だった。車に乗せる段階で、自分でシートベルトを外すからなかなか出発できず毎度遅刻。スイミングの駐車場に到着しても車の中で鬼ごっこが始まり、すぐに降りられない。引きずり出しておんぶで連れ出し、更衣室では泣き叫ぶクラームを羽交い締めにしてまるで追い剥ぎのように服を脱がし(クラームも必死に抵抗するから大人は知恵を使わないといけない。上の服を脱がすと見せかけズボンを脱がす等。)、水着を必死に着せて(水泳帽は被らないので持たせるのみ)、脱ごうとするからクラームの体ではなくパンツの紐部分を吊り上げてコーチのいる体操場まで運んでいく・・・という作業を毎回やる。やっとコーチに引き渡しても、その後は1時間ずっとプールサイドで体操座りし続けて練習に参加しない。コーチの声かけにも首を振って拒否をする。
水難事故に遭った時に自分でなんとかできるように、水に慣れて欲しいという目的で始めたスイミングだけれど、水の中に入らないんじゃあ技術は身に付かない・・・と半ば諦めかけていたところ、キャンプへ行って帰ってきてからのクラームの変化が別人だった。
上記のように毎度すごい労力のかかるスイミング通いだったので、私はなんとか変えたかった。このキャンプ経験を最大限に活かしたかった。自然の川の中の遊びと、屋内のプールは状況が違う点があるけれど、無理にでも結びつけて、スイミングを「楽しいもの」にすり替えたかった。
キャンプ明けの初回のスイミングへ行く数日前からクラームに「スイミングで練習して上手に泳げるようになったら、また山の中の川で、お兄ちゃんお姉ちゃん達と一緒にたくさん泳げるようになるねえ!次にキャンプに行った時に、お兄ちゃんお姉ちゃんに泳ぎが上手になったところ、見てもらえるね」といったことを吹聴した。スイミングに向かう車の中でも「そうなったら楽しいね」と話しかけた。
私の語りに対してクラームの反応はごく薄いものだったけれど、私の描いた楽しいイメージはクラームに多少は伝わったみたい。「今日、お着替えのとき、泣かないからね」と突然宣言してくれた。更に「自分一人で着替えられるから。」と言い出した。しまいには「帰りの時も、一人で着替えられるから、ママは更衣室の外で待ってて!来ちゃダメ!」とまで言い出した。
??? 何が起こったの??? と言うくらい、クラームが別人に変身した。4歳児って一人で着替えられるんだろうか・・・。期待していなかったことまでコトが進みすぎて、私の方がついていけない。
クラームは自分で言った全てのことを実現させた。更に授業開始前後の、コーチへの挨拶(お辞儀)をやってるのも、入会して1年2ヶ月目、この日初めて目にした。
キャンプ後1ヶ月間、クラームはニコニコの笑顔で最初から最後までスイミング教室を受けた。もともと足の力があるクラーム。親が贔屓目で見ても、泳力はちゃんと身についてる。ニコニコなもんだから、毎度コーチの受けが良いみたいで、驚くほど、サクサクと進級のチェックポイントをゲットし続け、とうとう、6月生まれの子どもの中で一番に最初の16級を合格してしまった。この級にこの先何年在籍するんだろう、、、とまで考えていたのだから、空いた口が塞がらない心境。
実はキャンプから1ヶ月半が経過し、とうとう魔法が解けて、クラームはスイミングで泣くようになってしまったのだけれど、それでも水の中に入って泳いでいるし、以前よりは耐性がついたのかなと感じている。
Nのキャンプが特別なところは、参加する子ども達が既に自然のプロだという点だと思っている。危険ギリギリまで接近し、自分で回避するタイミングを見極められるだろうし、山や川の中の遊びのやり方・生き物の生態をたくさん知っている。そんなプロ集団に、素人のクラームを放り込むのは、レベルの差によってもしかしたら誰もが見落とす落とし穴に落っこちる可能性もあるけれど、、、それ以上に、大人が絡まないまま、子どもだけでダイナミックなアイディアと行動ができる空間に居られるのは極上の経験になると思う。
1回きりじゃなくて、これから何度も、クラームには体験してもらって、参加者と交友を深めて、たくさんの知恵を吸収していってほしいと願っている。